
病院で働く仕事に興味はあるけれど、医療事務だけだと将来が不安。
データを扱う専門職として長く働ける資格を探している。
そんなときに候補に上がりやすいのが診療情報管理士です。
ただし診療情報管理士は、いきなり試験だけ受ければ取れる資格ではありません。
指定校で学ぶか、日本病院会の通信教育を修了するなど、決まった手順を踏む必要があります。
この記事では、資格の全体像から、受験資格の満たし方、学習ルートの選び方、合格後の働き方までをやさしく整理します。
診療情報管理士は「教育修了→認定試験→登録」が基本です
診療情報管理士の資格取得方法は、まず所定の教育要件を満たしてから、日本病院会が実施する認定試験に合格し、登録する流れです。
教育要件は大きく2ルートで、指定校を卒業する方法と、日本病院会の2年制通信教育を修了する方法があります。
試験は年1回で、原則として2月に実施されます。
つまり、最短でも「学ぶ期間」を見込んで計画することが重要と言えます。
診療情報管理士の基本情報
資格の位置づけ
資格名:診療情報管理士
分類:四病院団体協議会(日本病院会など)と医療研修推進財団が認定する資格です。
リサーチ結果では「国家資格」と紹介されることもありますが、一般に国家試験型の資格とは異なり、一般社団法人 日本病院会が認定する団体認定資格(民間資格)として扱われる点が特徴です。
分野:医療(病院事務・診療情報・医療データ分析)
管轄:日本病院会(認定試験の実施)など
独占業務の有無:独占業務はありません。
ただし病院では専門性の根拠になり、採用や配置で評価されやすい資格と言えます。
仕事内容(具体例を含めて)
診療情報管理士は、医療機関で診療情報を「整える」「守る」「活かす」仕事を担います。
診療情報とは、例えば診療録(いわゆるカルテ)や検査結果、退院サマリーなど、患者さんの診療に関する記録のことです。
近年は医療DX(医療分野のデジタル化)により、データ活用の重要性が増しています。
主な業務
- 診療録(カルテ)などの管理と点検
- 病名や処置のコード化の確認(統計・分析の基礎になります)
- DPCデータの作成・分析の支援
- がん登録など、医療の統計・登録業務の補助
- 院内の情報管理ルール整備(個人情報保護の観点も含む)
具体例
例えば、退院した患者さんのカルテに「診断名」「手術名」「入院期間」などが適切に記録されているかを点検します。
不備がある場合は、医師や看護部門に確認し、記録の整合性を高めます。
また別の例では、DPC(急性期入院医療の診療内容を分類して評価する仕組み)にもとづくデータを集計し、在院日数の傾向や診療の特徴を院内会議向けにまとめることがあります。
このように、医療の現場を「記録とデータ」で支える役割が特徴です。
難易度
難易度(目安)
難易度は★★★★☆が目安です。
理由は、試験対策以前に「指定の教育課程を修了する」という前提条件があるためです。
さらに専門分野では、統計や制度(DPCなど)も扱うため、暗記だけでなく理解が求められます。
合格率
合格率は非公開とされています。
そのため、合格率の数字で難易度を判断するより、カリキュラムを最後まで修了し、過去の出題範囲を丁寧に固めることが現実的です。
必要な勉強時間
一概の時間は示されていませんが、指定校ルートなら2〜4年の学習期間が一般的です。
通信教育ルートは基礎課程1年+専門課程1年の合計2年が基本で、働きながら進める人も多いです。
最後に試験対策として、問題演習と弱点補強の時間を別途確保すると安心です。
受験資格・取得条件(重要なので具体的に丁寧に)
診療情報管理士の認定試験は、誰でもすぐ受験できるわけではありません。
受験前に教育要件を満たすことが必須です。
ルートは大きく2つです。
ルート1:指定校(大学・短大・専門学校)で学んで卒業する
日本病院会が指定する学校(指定校)で、所定の単位を取得して卒業する方法です。
学校教育の中に、医療制度、診療情報、統計などが体系的に組み込まれている点が特徴です。
高校卒業後に進学して、ストレートに目指したい人に向きます。
ルート2:日本病院会の通信教育(2年制)を修了する
大学・短大・専門学校を卒業した人が、さらに日本病院会の通信教育を修了して受験資格を得る方法です。
通信教育は基礎課程1年+専門課程1年の2年制で、通算6年以内に修了する仕組みです。
受講料は22万円(税込)で、基礎・専門が各11万円とされています。
申込には審査があり、受講料は返金不可、延長には別途費用がかかる点も注意が必要です。
なお、**受講料や試験日程は年度ごとに変わる可能性があります**ので、必ず日本病院会および通信教育サイトで最新情報を確認してください。
特定資格がある場合の編入
医師・看護師などの特定資格保有者は、基礎分野の一部が免除され、専門課程から編入できる場合があります。
この場合、受講料は11万円とされています。
免除の可否や条件は年度の募集要項で確認することが重要です。
高卒の場合の注意点
高卒の人でも、病院勤務者に限り通信教育を受講できるとされています。
「高卒だけど病院で働いている」という状況なら道が開ける一方、勤務要件があるため事前確認が欠かせません。
資格取得の流れ(ステップ形式)
ステップ1:自分のルートを決める
まず、指定校に進学するのか、通信教育で受験資格を得るのかを決めます。
すでに大学・短大・専門学校を卒業している人は通信教育ルートが現実的です。
高校卒業後すぐであれば、指定校ルートも検討しやすいです。
ステップ2:教育要件を満たす(卒業または通信教育修了)
指定校なら卒業まで学びます。
通信教育なら、基礎課程と専門課程を計画的に進め、期限内に修了します。
ステップ3:認定試験に申し込む
認定試験は年1回、原則2月に実施されます。
最新の要項で、申込期間や提出書類を確認します。
なお、試験日程や申込期間は年度によって変動するため、必ず日本病院会の公式情報を確認しましょう。
ステップ4:試験対策をして受験する
試験範囲は、基礎分野(医療概論など)と専門分野(DPC制度、統計など)です。
DPCは「病院の診療内容を分類し、医療の提供状況を評価する仕組み」です。
統計は、平均や割合などを使って医療データの傾向を読む力が中心になります。
ステップ5:合格後に登録して資格者として活動する
教育修了と試験合格の後、所定の登録手続きを行い、認定資格として名乗れるようになります。
就職や異動のタイミングに合わせて、履歴書や職務経歴書に記載しやすくなります。
メリット・デメリット
メリット
- 医療事務との差別化になりやすい(記録管理・データ分析寄りの専門性)
- 医療DXの流れで、DPCデータ分析などの需要が増えている
- 病院内でのキャリアの選択肢が増える(診療情報部門、医事課の分析担当など)
デメリット
- 受験前に教育要件があり、時間と費用がかかる
- 受講料は返金不可など、制度上の注意点がある
- 独占業務ではないため、資格だけで職務が自動的に保証されるわけではない
向いている人
向いている人は大きく3タイプに分けられます。
第一に、コツコツと記録を整える作業が得意な人です。
第二に、数字や表を見て傾向をつかむことに抵抗がない人です。
第三に、医師や看護師、事務職など多職種と連携して仕事を進めたい人です。
例えば「ミスを減らすためのチェックリスト作りが好き」「Excelで集計するのが苦ではない」という人は適性があると言えます。
年収・将来性
年収は勤務先(病院規模、職種区分、地域、経験年数)で差が大きく、一律の相場を断定しにくい分野です。
一方で将来性は、医療DXの推進により、診療情報の整備やDPCデータ分析の重要性が増している点が追い風です。
リサーチ結果でも、資格保有者が医療機関で不足傾向とされています。
そのため、病院事務職の中で専門性を示しやすい資格の一つと言えます。
他資格との比較(医療事務との違いが分かりやすい)
医療事務(民間資格など)との違い
医療事務は、受付、会計、レセプト(診療報酬明細書)作成など、日々の運用に強みが出やすい分野です。
一方、診療情報管理士は、診療録の管理やデータの品質管理、分析などが中心で、病院の「改善」や「経営判断の材料」につながる情報を扱う場面が増えます。
例えば、医療事務が「請求の正確さ」を担うなら、診療情報管理士は「記録とデータの正確さ・活用」を支えるイメージです。
組み合わせの考え方
医療事務の実務経験がある人が診療情報管理士を取得すると、現場理解とデータ活用の両方を示しやすくなります。
また関連資格として医療情報技師などと組み合わせる考え方も紹介されています。
医療情報技師は、医療情報システムの知識を体系化した資格で、電子カルテなどIT寄りの理解を補強したい場合に検討されます。
よくある質問(Q&A)
Q1:診療情報管理士は独学だけで受験できますか
A:独学だけで受験することはできません。
認定試験の受験には、指定校卒業または日本病院会の通信教育修了など、教育要件を満たすことが必須です。
Q2:通信教育は働きながらでも修了できますか
A:働きながら修了を目指す人は多いです。
ただし2年分の学習量があるため、週単位で学習時間を確保する計画が必要です。
繁忙期がある職場の場合は、早めに前倒しで進める工夫が有効です。
Q3:高卒でも資格取得は可能ですか
A:可能性はあります。
リサーチ結果では、高卒者は病院勤務中に限り通信教育を受講できるとされています。
勤務要件や必要書類が絡むため、募集要項で条件を確認してください。
Q4:試験はいつありますか
A:認定試験は年1回で、原則2月に実施されます。
申込時期は年度の案内に従います。
**最新の試験日程や申込期間は、必ず日本病院会の公式情報を確認**してください。
資格取得におすすめの勉強方法
まず「制度」と「用語」を自分の言葉にする
DPC、診療録、個人情報保護、統計などは、言葉だけ覚えると混乱しやすいです。
例えばDPCなら「病院の入院医療を分類して、医療の提供状況を評価する仕組み」と、1文で説明できるようにします。
この作業ができると、記述や応用問題でも崩れにくくなります。
次に「例題→間違い直し」を繰り返す
統計や制度問題は、解き方の型があります。
問題を解き、間違えた理由を「計算ミス」「用語の取り違え」「制度の条件の読み落とし」などに分類します。
分類すると、次に何を直せばよいかが明確になります。
最後に「業務の場面」に結びつける
例えば「診療録の点検」は、監査の視点で問われやすい分野です。
「もし自分が病院でこの記録をチェックするなら、何を見るか」を想像すると、知識が整理されます。
また、指定校や通信教育では、カリキュラム内で認定試験対策講座や模擬試験を用意している場合が多いです。
これらを活用しつつ、市販の教材やオンライン模擬試験を併用することで、出題傾向に慣れ、弱点補強を効率的に行えます。
独学は可能かどうか
試験対策としての独学は可能ですが、受験資格の面では独学のみは不可です。
指定校での履修、または日本病院会の通信教育修了が前提になります。
初心者がつまずきやすい点は、ここを見落として「参考書で勉強してから受けよう」と考えてしまうことです。
最初に、自分が受験資格を満たせるルートを確定させることが重要です。
実務経験の有無と必要性
資格取得そのものに、実務経験が必須と断定できる情報はありません。
ただし、病院での業務経験があると、診療録や院内の流れをイメージしやすく、学習が進めやすい傾向があります。
また高卒で通信教育を受ける場合は「病院勤務中」という条件があるため、結果として実務経験を積みながら学ぶ形になりやすいです。
将来的に活かせるキャリアパス
診療情報管理士の学びは、病院内での役割拡大につながりやすいです。
例えば次のような方向性が考えられます。
- 診療情報管理室での診療録管理・監査の中心担当になる
- DPC関連のデータ作成・分析担当として、医事部門や経営企画と連携する
- がん登録などの登録業務を担当し、専門性を深める
- 医療情報技師などを追加し、電子カルテや医療情報システム側へ守備範囲を広げる
医療DXが進むほど、データの品質管理と活用の重要度は上がるため、キャリアの選択肢も増えやすいと言えます。
具体例でわかるルート選び(3パターン)
例1:高校卒業後、医療分野の学校で学びたい場合
指定校(大学・短大・専門学校)で所定単位を取り、卒業後に認定試験を目指す流れが基本になります。
学校の授業として体系的に学べるため、初心者でも段階的に理解しやすいです。
例2:すでに大学・短大・専門学校を卒業している場合
日本病院会の2年制通信教育を修了してから、2月の認定試験を受験する流れが現実的です。
受講料は22万円(税込)とされているため、費用計画も立てやすくなります。
例3:高卒で病院勤務をしていて、働きながら取りたい場合
病院勤務中であれば、通信教育を受講できる可能性があります。
日中は勤務、夜や休日に学習という形になるため、学習計画が特に重要です。
例えば「平日30分+休日に2時間」など、現実的な枠を先に決めて継続する方法が有効です。
学歴・状況別のおすすめルート診断
ご自身の現在の学歴や状況によって、最適なルートは異なります。
以下で、どのルートがあなたに合っているかを確認してみましょう。
- 高校卒+病院勤務あり
→ 日本病院会の通信教育の受講資格があります(書類選考前提)。通信教育で受験資格を取得し、認定試験へ進むのが一般的です。 - 高校卒+病院勤務なし
→ 通信教育の受講資格が原則ないため、日本病院会指定の大学・専門学校に進学するのが、受験資格を得るための最短ルートとなります。 - 短大・専門学校・大学卒(医療系でなくても可)
→ 日本病院会の診療情報管理士通信教育に申し込み、2年間の受講で受験資格を取得するのが一般的な方法です。 - すでに医療事務など関連資格あり+病院勤務
→ 条件を満たせば、通信教育の専門課程編入(1年)が認められ、より短期間で受験資格を得ることも可能です。
まとめ
診療情報管理士の資格取得方法は、指定校卒業または日本病院会の通信教育修了で受験資格を満たし、年1回(原則2月)の認定試験に合格し、登録する流れです。
通信教育は基礎課程1年+専門課程1年の2年制で、受講料は22万円(税込)とされています。
なお、受講料や試験日程は年度によって変動する可能性があるため、必ず日本病院会および通信教育サイトで最新情報を確認しましょう。
試験ではDPC制度や統計なども扱うため、用語の暗記だけでなく、仕組みの理解と演習が重要になります。
医療DXの進展でデータ活用の需要が増えているため、病院事務職の中で専門性を示しやすい資格と言えます。
次にやることを小さく決めると進めやすいです
まずは、自分がどちらのルートで受験資格を満たせるかを確認すると安心です。
次に、通信教育を検討する場合は募集要項で申込期間と条件を確認し、学習スケジュールを月単位で置いてみてください。
指定校を検討する場合は、カリキュラムに診療情報管理の科目が含まれるかを確認し、卒業後の進路実績も見ておくと判断しやすくなります。
やることを一度に増やさず、確認と計画から始めると、資格取得までの道筋がはっきりしてきます。